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『文章心得帖』を読みました

更新日:2022年7月28日

『文章心得帖』(ぶんしょうこころえちょう)

著者鶴見俊輔(つるみしゅんすけ)

※1980年4月刊行後、若干の訂正と削除を加えられ2013年ちくま学芸文庫から出版


注意)文章に向き合う不変的なところには共感を覚え、学びがあると考えますが、

時代の雰囲気に付き合えず、本書の後半はだるいな~と感じました。


厳格な書評ではありません。

役に立った!勉強になった!なんかすき! というところをスポット的に紹介・書抜します。



1⃣紋切型の言葉について 13p

この章では、名文やピンと来た文に対する書き抜きが推奨されています。

うまい文章をストックし、自分の文章との違いを確かめ、自分の文章をチューニングする材料にしましょうという理由です。

大賛成です。これまでは熟語だけ書き抜くようにしていたのですが、文章ごとチェックしようと思いました。



2⃣鶴見さんは『紋切型の言葉』を嫌います。

平易なことばをつかってわかりやすく書くことを推奨しているわりに、

『紋切型』についての説明はありません。以下は辞書より。



 もんきり‐がた【紋切り型】 の解説

 1 紋形を切り抜くための型。

 2 きまりきった型。かたどおりで新味のないこと。「―の祝辞」

 (20220426 goo辞書検索結果)



鶴見さんの価値観に基づいて選定されるようで、紋切型の言葉は辞書的に定義されているものでもなさそう。

前半はこの『紋切型の言葉』というキーワードを軸に、

他者の書評について評価します。


『紋切型の言葉』の例がいくつか出ており、その傾向としては

・蛇足な気はするけどかっこういい言い方だから付け加えてみた、という感じの文

・一般流通している表現・キャッチコピーの流用

・「あまりに有名な」などというそんなに意味がないけど、共通認識を押しつけてくるタイプの表現

・無個性な挨拶文


などかな、と感じました。

ありがちすぎると目が滑るので気をつけたいところ。


3⃣文間文法の技法を覚える 41pー(もし読むひとがいたら、ここは確実に読んでほしい)

 以下47pより書き抜き

 ひとつの文と文との間をどういうふうにして飛ぶか、その筆勢は教えにくいもので、会得 

 するほかはない。その人のもっている特色です。

 間

 1つの文と文との間は、気にすればいくらでも文章を押し込めるものなのです。だから、  

 Aという文章とBという文章の間に、いくつも文章を押し込めていくと、書けなくなって

 しまう。とまってしまって、完結できなくなる。そこで一挙に飛ばなくてはならない。


 



4⃣・混沌から形へ 135pより書抜

 

 混沌を殺さないようにというのは、混沌には生命力があるからです。にもかかわらず、混沌をそのままに置いては文章はできないので、ある形をつくらざるをえない。


はい、名言キタ! 混沌、とても言い得て、すっきりした表現だったので、わすれないように書き抜いた。

書きたいというとりとめもない欲求だけでは、文章に置換されない。混沌がぴったりではありませんか。

この章では、文章の構成やアイデアの整理について提案されており、付箋をおきかえて構成を模索する方法に近いような手法もありました。

マークを書いて、書きたいもののイメージを明らかにするという手法もあったのですが、ウン……そうなんだ……よくわからん、という気持ち。




ーーー

余談





本屋に平積みされている『文章の書き方』などの本をメインに数年勉強してきましたが、

どれも浅くて、同じことばかり言っているなぁと感じていました。

そこで大学に通ってみようという気持ちが強くなったわけなんですが、

大学の授業といっても、動画はほとんどありません。


指定された本を入手して、読んで、レポート出して、レポートが通過したら試験を受けるという形でございます。


そんなわけで、とにかく読書読書とスケジュールが混んでおりますが、意外と不快ではありません。

中高通して、まともな生徒ではなかったし、短大ではいろいろ派手にやりすぎて、

卒業式でつけを払わされる始末……とにかく『先生』との相性は、だいたいよろしくない人生だったので、

先生が本のなかにしかいないという環境は、大変だけど向いていると思っております。



大学で参考図書として選書されている本は、やっぱり目新しいことが載ってます。

温故知新とはまさにこのことです。

二年で単位を取りきって、卒業できるかどうかわかりませんが、

先達がおすすめしてくれる本をどんどん読んで、アウトプットしていきたいなと思いました。

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