推敲の勘所①『てにをはのへと等』の連続って気にしてる?
- happyyellowpublish
- 2021年9月24日
- 読了時間: 4分
物議をかもしかねないネタに触れたうYO!今日のテーマは『助詞』です。
品詞の名前ば出しますと、とたんにおかたい話に感じられるかと思うのですが、
まあちょっと落ち着いてください。
助詞の種類を覚えようというのではないのです。
助詞の近接がある文章と、近接していない文章での読みやすさの違いについて
意識してみませんかという回でございます。
■さくっと、助詞について説明します。
素人による説明なので、大体のイメージを掴んでもらえれば御の字です。
例文:大根の皮を剥き、輪切りにして、たっぷりと水を張った鍋に入れ、そこに糠を足して下茹でする。
→大根の:の(格助詞)
→皮を:を(格助詞)
→輪切りにして:て(接続助詞)
→たっぷりと:と(格助詞)
→水を:を(格助詞)
→鍋に:に(格助詞)
→そこに:に(格助詞)
→糠を:を(格助詞)
→足して:て(接続助詞)
助詞はありきたりな文章のなかに、てんてんてんこ盛りにございます。
『てにをはのへとその他』には、体験的に十分ななじみがあるはずですし、助詞の役目はご存じかと思うので、
『あ~、あいつらのことね』というご認識をお持ちいただければOKです。
■『の』の連続、ちょっと読んでみて。
では連続や、近接について考えてみましょう。
例文①:「武田のお母さんの実家の犬が仔犬を5匹産んだらしくて、貰い手を探してるんだってよ」
まぁ~話し言葉ではよくある感じの『の』の連続です。
こんな程度の『の』は、耳になじみがあるぶん、書いちゃいますよね。
じゃあ『の』の近接をなくしたバージョンをご確認ください。
例文②:「武田のやつ、仔犬の貰い手探してるんだってよ。母さんの実家で5匹も生まれちゃったっつってた」
どうっすかね? ①と②、どっちが自然ですか?
①はどちらかと言えば説明的で、どこで息継ぎをするのかわからないし、苦労しながらことばを使っている感じがしませんか。
『ほかに言いようがあるのに、『の』を重ねて説明するしかなかったのだな』と読み手側が認識するとします。
表現のバリエーションの手札が少ないと、『稚拙な文』といった印象になります。
※武田について語る彼が、『そういう稚拙なところがあるキャラクター』ならいいのです。
でも、武田について語る彼が、ちょっとぶっきらぼうだけど、クラスで一番成績のいいやつだとしたら、
『の』を連続使用したしゃべり方は、ちょっと合わないかなぁ~と思います。
では②はどうですか?
これは好みが左右するところなのですが、わたしは断然②派です。
主語である『武田のやつ』と述語である『探している』を近づけ、母さんの実家関連の情報を補足としてまとめました。
構造的に読みやすくなったし、武田について語る彼の個性もプラスできていると思います。
(あくまでも比較的かつ当社の主観比)
たしかコミックナタリーのライター指導の方が書かれた文章術の本だったと思うのですが、
『の』の連続は、2つまでを目安にということでした。
読み手の誤読を誘発するような文を回避する方法を探るといった点で、じつはこういう本を何冊か読み比べしています。
何冊かは、そのうちご紹介します。
■『で』の近接も読んでみよっか^^
・カフェで原稿したあと、メイトでグッズ買った。
・カフェで原稿したあと、メイトに寄ってグッズ買った。
■『に』の連続も、この際だから、いいよね^^
・菊池に富田の結婚式に俺の代わりに出席してくれと頼みに行った。
・菊池に自分の代理で富田の結婚式に出席してくれるよう頼んだ。
■自分がチェックする側だったら、赤ペンを入れますか? いれませんか?
若干単語を変えたりしていますが、『で』や『に』はあえて解釈を述べませんでした。
よくよく読むほど、ニュアンスに変更があるかないか、あるならばどんな具合かを考えることになります。
先日UPした『校閲を大事にしたいと思っている』記事で、お預かりした原稿の修正に
五時間以上かかったという話をしましたが、こういうところなんですよね……。
■読んだ文字は、頭のなかで音声化されたあと、理解される。
わたしは日本語以外さっぱり話せません。
でも日本語は、取り立てて韻を気にする言語ではないかと感じています。
ダジャレとか、古くからありますもんね。(多分どこの国でもあるんだろうけどもさ)
連続させる以外に表現する方法がない場合も、もちろんあると思います。
考えて、前後を何回も入れ替えて、誤読にならないか推敲して、それでも近接から逃れられない。
そんなときは使っちゃっていいのだと思う。
そういうゆとりがあるほうが、たのしいですしね!
しかし近接がたくさんある文章より、なるべくない文章のほうが読みやすいという主張、
ご理解はいただけたと思いたい。
ご自身の書いたものを校閲する際、音の近さを気にしていただけることを願うばかりです。
Comments